Office365障害に思う クラウドでもオンプレでもユーザにとって使えないことに変わりはない

2019年11月20日にマイクロソフトのクラウドサービスであるOffice365で障害が発生した。
クラウドサービスが市民権を得て久しい、大変身近になっていると感じる。
いつでもどこでも利用できるというのはありがたいお話には違いない。
だが障害が起これば影響が大きい。
そんなことを書いてみた。

身近になったクラウドサービス

企業でもGmailをはじめG-Suiteを使っていたり、Office365を使い始めたりすることも普通に見るようになった。
管理人も個人的にGmailを始め様々なサービスを利用している。
思うにユーザ側から見てキチンと使用できれば、それがクラウドだろうとオンプレだろうと一向にかまわないと思う。

クラウド化されたことでメリットも多い。
例えば多数のスマートデバイスから利用できるし、セキュリティ面もキチンと運用さえしておけば問題ない。
さらに様々なサービスと連動できたり、データが共有できたりと便利になったと思う。

最近ではデータのバックアップなんかもクラウドの時代だ。
クラウドにデータや仮想サーバイメージをバックアップしておき、非常時はそこから自動的に別の仮想サーバ基盤にサーバを構築し復旧してしまう。
こうなると時間や距離の概念を超えてデータが引き継がれるという感じだ。

マイクロソフトAzureADとオンプレADとクラウドの関連図
マイクロソフトAzureのパスワードハッシュの仕組み

クラウド時代のあきらめ

管理人が企業のクラウド利用を見ていて感じることがある。
例えばメールなんかで企業内のオンプレのサーバにより運用されているようなことを考えてみると。

メールが止まってしまうというのは企業活動にとって未だに重大なインシデントになる。
対外的には営業活動はストップし、社内的には連絡事項もままならない。
いっときは社内メールの利用をやめる企業が多くなっていたのだが、その風潮も長続きしなかった。

こういったメールが止まると責められるのは情報システム部門だ。
なぜ止まったのか?、復旧はいつになるのか?、今後の対策はどうするのか?といった事に追われることになる。
非常に重要で重大な責任を負わされてしまっているとも言える。

これがクラウド利用のメールシステムが止まってしまったとしよう(例えばGoogleやMicrosoft)。
そうなると面白いものでエンドユーザはあきらめが付く。
GoogleやMicrosoftのクラウドサービスが止まってしまい、世界中で何万人にも影響が出ているとなると抗議のしようもない。
ましてや抗議すら誰も受け付けない(情シスも提供元も)。
もうあきらめるしか無い…。

社内サーバの運用もよく似た状況

面白いのはこうした状況が企業のインフラのみではなく(メールとか)、部門が運用するサーバにも及んでいることだ。
企業内の部門が運用するサーバは今までオンプレで運用されていて情報システム部門がおもりをしていたものだ。
それが最近ではクラウド上へ移動している、それで運用の責任は各部門が持つことになる。

つまり情報システム部門という部署は社内のコンサルをしているような感じになっていると感じる。
企画は情報システム部門、運用は各部門がクラウドでということになる。
情報システム部門が責任を持つということが少なくなってきていると感じている。
面白いことだ。

長年企業の情報システムに携わってきているがクラウド化で企業内の役割が変化してきている。
過去に分散コンピューティングという言葉があったが、分散クラウド運用という感じだろうか。
長年情報システム部門は慢性的なバックログを抱え人員不足に悩まされ過大な責任を負わされてきた。
それが情報システム部門は企業内で企画に専念できるコンサルになるという感じだろうか。

ユーザにとって使えるか使えないか

今回Office365が大規模な障害により世界中でメールが使えなくなったりした。
これはユーザにとってはオンプレでもクラウドでもメールというサービスが使えないことに変わりはない。

クラウドであるがためにある種の使う側の企業の責任回避のような感じで、こうした障害に責任を持たなくても良い。
しかし使えないことによる損害は被るだろう。
もちろんクラウドサービスを提供する側についても使えるという完全な保証をしているわけでもない。
つまり誰も責任を持たない状況なのだとも言える。

前出のGoogleやMicrosoft、それにAmazonですら障害が起きてサービスが止まることがある。
加えて通信回線に障害が起きてもクラウドサービスは使えない。
日本の通信回線の品質がものすごく高いおかげで、通信回線のありがたみを感じないだけだ。
この世の中に完全ということは無いのだと感じる。

こうした事を考えると個人的にはスマホ依存もほどほどにして、これから先の生き方を考えないといけないと感じた。

今回はこのへんで
では