システムの分野では中小企業の経営者達は金払いが悪い 原因は様々だが任すだけの度量も必要だ

管理人は30年間にわたって様々なシステムに関与してきた。
管理人の関与した顧客は様々だし商流も様々だがエンドユーザーは大きいか小さいかそしてその中間の3つしかない。
大きいか小さいかの基準は難しいが大きい方は上場している良く知っている企業で小さい方は直接社長とお話をする企業という感じである。
今回は中小零細企業でのIT系システムを構築しようとした際のお話しである。
特に中小零細企業相手だとお金のお話でも痛い目に合う事が多い。

システムの価値とそのアイディアの元

中小企業の経営者の場合は多くがその分野においてこだわりを持っている。
逆にこだわりが無いと没個性でもあり周りに埋もれてしまうため必須だろう。

その中小企業の経営者の頭の中をシステム化するという事がたまにある。
これが端的に言って非常に難しい。
常に試行錯誤や改良を繰り返しているために要件や仕様が安定しないし実際に変わってしまう。
それに加えて人に伝える事が苦手で独りよがりな経営者はこれが他人にうまく伝えられない。

こうしたシステム化の際の問題点は次のようなところだと思う。
アイディア自体は良いのだが経営者自身が相手に上手く伝えれないという問題が一番大きい。
さらにアイディアを盗まれるのではないかと恐れるあまり隠し事が多い事だ。
これでもかという具合に後から後から要件が出てくるのだ。
こうした案件でそのアイディアが素晴らしくって他に聞いた事が無いと感心する事は当然だがまれだ。
いずれも内容的には過去の焼き直しか整理し直したような感じでどちらかというと営業的な要素が強い。

システム屋としては当然だが素早く要件定義して設計作業に入りシステムを構築したい。
だがこうした場合は要件定義と基本設計の部分で行ったり来たりして進まなくなる。
それをシステム屋のせいにされてしまうのだ。
何度もこうした事態に陥った事があるがそれを理解してもらうのに大変なパワーを使う。

中途半端にITできる中小企業の経営者の陥りやすいところ

こうした状態ではシステム屋は前述のように要件定義に非常に多くの時間と工数を費やしてしまう。
経営者は自分が揺らいでいる事も分からないでついには「まだ完成しないのか?」という勝手な考えに陥ってしまう事が多い。
伝えたらすぐにシステムはできると錯覚しているのだ(説明しているにもかかわらず)。
さらにシステム化するとなんでも実現できると未だに思っている経営者も多い。

もちろんこういう人でもPCは人並み以上に使えるし個々のスキルは素晴らしいから余計にタチが悪い。
そうシステム化に関する自分のスキルが低いとは思っていないからだ。
PCの操作は出来てもシステム化するスキルが足りない事を自分では気づいていないのだった。

これは結局システム屋に跳ね返って来て金払いに直結する。
なかなかシステムがなかなか出来上がらない事に対して腹を立ててしまう。
自分のシステム化に対するスキル不足を分かってもらおうと思ってもこうした人は聞く耳を持たない。
素晴らしいアイディアを持っていると考えている経営者ほど独断的でどうしようもない。

それに次に述べるが中小企業の経営者がへそを曲げると途端に金払いが悪くなりそれまでに作業した工数が回収できなくなる。
これが一番怖いところなのだ。

システム屋に顧客を取られるという妄想をする中小企業の経営者

システム屋の本懐はシステムを構築して顧客に実利をもたらすことで満足してもらう事だ。
もちろん管理人のようなほとんど個人でやっているシステム事業者にとっては顧客確保は大変重要な事だ。
誰かに仲介して繋がった顧客がほとんどだが商流については非常に気を遣う。
最近ではこうした事は薄れて行っているのかもしれないが大事な事だと思っている。
これは何もシステム屋の事では無く商売の事だ。

さらに商売の世界は自分が思っているよりも小さくて噂はすぐに駆け巡ってしまう。
当然システム屋の世界でもこれは同じなのだ。
だからこそおかしなことにならないように常に気を使っているのだった。

こちらはこうした考え方をしているのだが関与した中小企業の経営者は自分の顧客を取られてしまうのではないかと妄想する人が多い。
中小零細企業の商売では生き馬の目を抜くという表現がピッタリの状況が日々繰り返されるのは分かっている。
だから人を見る目も疑心暗鬼になるのは分かる。
しかしそれは自分の問題であってこちらの問題ではない。

現在の顧客との繋がり方に自信が無い事やベストを尽くせていない状況なのは分かる。
それはどこの企業も同じだからだ、時間が無い、人がいない、という事で顧客へのベストなフォローが出来ていない。
自分でそういった事を良く分かっているからこそ関係しているシステム屋に必要以上の警戒感を抱くのだ。
こんな状況ではまともな仕事はできない。

中小零細企業の金庫は経営者の財布なのだ

管理人が関与した中小零細企業、特に直接経営者とお話をするような案件では時に作業工数を回収する事が出来ない事がある。
その理由は様々だが前述のような状況で経営者との間に溝が出来てしまった場合が多い。
こうした状況に一度陥ると状況を回復する事は難しくほとんどの場合は回復できない。
関係を回復できない場合は相手が中小零細企業の場合は売上の回収が難しくなる。

そう中小零細企業の経営者にとって会社のお金は自分の財布と同じなのだ。
支払う段になって自分が納得がいったものにしかお金を払わない。
それは同じ境遇として良く分かる。
だが最初の約束や契約をも反故にしてしまうのだった。それが口約束ならなおさらだ。
それほど経営者の気分に左右される。
こうなるとビジネスでは無く遊びに近い。
管理人自身はもう痛い目にはあいたくないためこうした案件には極力近づかないようにしている。

これに対して大企業ではこうした事は少ない。
基本的に複数の人間が関係してシステムを構築していくからだ。
そして知恵を絞り最適解をなんとか導き出す。
もちろん感情的なわだかまりが発生する事もあるがそれだけには左右されない。

だが大企業の仕事はリスクも年々大きくなりつつある。
なにかあった時にカバーしきれないようになりつつあるのが実態でリスクが大きい。

システム屋としては難しい時代になったのは事実だ。
そして1億総SE化というべき時代にもなってきた。
SEと呼ばれる人たちがたくさんいるがスキルはもちろんだが人間性や倫理性が足りない人もいる。
どちらかというと顧客との問題解決力がモノをいう時代だと思う。
こうした専門職を作っても良いのかもしれない。

今回はこのへんで
では