IoTになる前の時代の通信と計測制御の世界のお話し その2:監視サービス

 

管理人はかなり以前に通信業界の動向をまとめたことがある。
その内容としては当時かなりコアな位置情報、計測監視、その時点でこれからやってくるであろう新しいサービス等々についてだ。
そのリポートを引っ張り出してみて現在とどう異なるのか?を見てみたいと思った。
このレポートは2003年当時に管理人が執筆したものだが長いのでいくつかに分けてみた。
前回は位置情報サービスとして2003年当時のものを紹介した。
今回は第2弾として機器の監視サービスについて記事をアップしてみた。
掲載した文面は2003年当時のそのままなのでご了承いただきたい。

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2003年当時の監視サービスの現状

機械監視や稼動データ収集に関しては、有線回線を利用したシステムが、水処理システム等かなり以前から行われていた。

監視サービスの無線化が進む

ここ1~2年くらいの間にこれらの有線回線のシステムが無線のシステムへ移行するという動きが顕著である。
また以前からのシステムの移行ではなく、新規のシステムとして無線の通信を利用したものも盛んに企画されている。

この背景には様々な要因が考えられるが主に次のような理由によると思われる。

まず第1に有線回線用のモデムの需要が減少してきておりモデル数や供給に不安があること。
第2に経費削減の動きとして固定電話の基本料金および初期費用よりも無線系のほうが安いということもありシフトしていること。
第3に無線のために設置の手間が簡便で導入しやすいこと。
第4に製品に通信を組み合わせて付加価値を付けたいというサービス提供側の思惑があること。
第5にメンテナンス要員の効率的な配置や動きを促進したいという動きがあること。

監視サービスの無線化へのキャリア側の対応

これらの理由によりこの分野の需要は大変高い状況にある。
携帯電話およびPHSキャリアはこういった需要向けに従前より専用のコースを設定している。
PHSではテレメトリングまたはテレメタリング呼ばれるものがこれにあたる。
携帯電話ではNTTドコモのDoPaやAUのシングルパケットサービスがある。
いずれもデータ専用サービスとすることで月額基本料金を抑えた料金コースとしている。

監視サービスの無線化への機器側の対応

端末については携帯電話は様々なタイプがありカードタイプや音声端末タイプ、専用のものもある。
およびPHSについては一般的に専用端末を必要とする。

インターフェースはシリアルが一般的で被監視装置に組み込む場合を想定して製品寿命の長い産業用の仕様となっていることが多い。
この場合、携帯電話およびPHSともアンテナが別体となってエリア確保を比較的容易にしている端末を使用する事が多い。

PHSの制御チャネルの周波数移行問題

ここにきてPHSの制御チャネルの周波数移行問題がクローズアップされてきている。
おおよそ2012年にW-CDMAとの周波数干渉を避けるためにPHSの制御チャネルの周波数移行を行うことになっているが、産業用として長い製品寿命を想定しているため導入には周波数移行に対応した端末機を考慮する必要がある。

監視サービスの通信方式

通信方式はPHSの場合、回線交換方式が主流で従前のNTT有線回線を代替するためのアナログ通信やPHS独自のPIAFS等が使用されることが多い。
このために比較的簡単にセンター側設備の構築が可能である。
センター側はNTTアナログ回線またはISDN回線を引き込にモデムやTAを装備することにより接続が可能である。
このためにアプリケーション側はIP化する必要が無く従前からあるシステムとの相性が良い。
これに対して携帯電話ではパケットのサービスとなるために基本的にはアプリケーションをIP化する必要があり、センター構築には専用線を引き込む必要があるのでかなり大がかりなシステムとなることが多い。

監視サービスから見た各々の通信方式の問題点

また実際の運用ではパケットの遅延の問題があり、リアルタイム製を問われるシステムでは何らかの対策が必要とされる。
対照的なのは課金方式もそうで、PHSは回線交換方式のために時間課金となる。
一方携帯電話のパケット交換方式ではパケット単位の課金となる。
従って大きなデータを送る必要のあるシステムでは回線交換方式のPHSが料金メリットが出る。
逆に他頻度で小さなデータを送る場合はパケット交換方式に料金面でメリットが出る場合が多い。
またPHSにおいて定額性のサービスが開始されたことにより、このサービスを利用したシステムも見受けられる。

監視サービスの通信コスト

コスト面においてはデータの種類特性によりユーザー側で試算の上、決定される。
昨今では今でになかった使用方法も出てきており、単に監視や警報リモートコントロールを行うだけでなくユーザーの新事業として付加価値を創造していく役割をも担っていることが多い。
人口普及率を見ても分かるように人間に対してはある程度の普及をしてきているが、こういった用途に関してはまだまだ開拓の余地がありこれからの分野だと考える。

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監視サービスの通信方式を決める別の要素

前項で携帯電話はパケット交換方式、PHSは回線交換方式と説明した。
ユーザーでの通信媒体の選択は主に次の観点にて決定される。
第1にエリアの問題で、これは使用しようと予定された場所で使えることが大前提である。
ただし被監視装置が地下の機械室や建物の奥にあることも多くエリア改善を必要とすることもある。
第2に送受信するデータ量と料金の関係で、小さなデータを他頻度で通信する場合はパケット課金が有利になる。
また大量のデータの送受信を伴う場合は高速回線の時間課金が有利である。
稼働台数が多い場合はそれだけ大きな違いとなって現れる。
第3に通信方式である、これはIP化できない無手順のようなシステムならPHSというようにシステム毎に特徴があり状況により使い分ける必要がある。
第4に双方向性がある、次項に説明しているが被監視装置に対してアクセスする必要があるかどうかにより回線選択する必要が出てくる。

2003年当時の監視サービスの具体的ソリューション

メンテナンス系

稼働監視

一般的なリアルタイム監視であるがセンター側からのみではなく、メンテナンス要員が出先よりモバイルにてリアルタイムモニターできるものも一般化してきている。
この場合は補充部品の在庫管理の必要性から、PocketPC系のPDAでバーコードスキャナーを備えたものを使用することが多い。

ログ吸い上げ

メンテナンスのためには稼働ログの解析は非常に重要である、最近では詳細なログを吸い上げるためデータが大きくなる傾向にある。
これにより被監視装置に対して予防的なメンテナンスを行う事が可能で、特に止めてはいけないシステムでは重要である。
またデイリー情報をe-mailに添付する方法も使われ始めている。

警報

被監視装置がなんらかの異常をきたした場合、その重要度に応じて伝達方法を選択するのが一般化している。
例えば軽度な警報はe-mailで重度な警報は直接通信を行う。
またメンテナンス要員の持つ携帯電話およびPHSに直接音声通話にて連絡することもある。

プログラムダウンロード

被監視装置のソフトウェアのダウンロードを通信回線経由で行うことも多くなってきている。
このことにより夜間にバージョンアップを行い、昼間の顧客業務を止めることなく最新の機能を提供することができる。

サプライ補給

これも警報の一種であるがサプライ品の補充を促すものである。
サプライ品の不足により商機を逃さない仕組みである。
自動販売機の商品在庫や釣り銭切れ等の監視はこの一種である。
※ここにあげた例は一般的な例である。

付加価値系

売上状況のリアルタイム提供

運用主体とオーナーが別の場合、オーナーに日々の稼働売上状況を提供することができそれを売り物にするシステムが登場している。
これによりオーナーはリアルタイムでの稼働状況を自宅のPCやPDAで確認することができ、さらにwebカメラ等でリアルタイム画像を提供している場合もある。

食品温度保証

食品の場合は輸送中の温度管理が一番手薄なポイントと言われている。
これは各ポイント(デポや集積基地)では温度管理されているが輸送中はトラック任せとなり状況が把握できていなかったためである。
この部分の温度管理データを顧客に提供することにより、食品の追跡温度管理が可能となり付加価値を付けることが可能となる。

電力契約最適化

電力会社との契約は複雑で最大電力量や時間帯、電力種類および契約内容で大きく経費が変わってくる。
そのため電力引き込みの端子盤部分でリアルタイムモニターを行い最適な契約を行うためのデータ収集を行う。
※ここにあげた例は一般的な例である。

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監視サービスのシステム構成例

監視サービスの場合のネットワーク構成の例を挙げる。
双方向の通信性を確保しようとするとネットワーク側でのコールバック等の仕組みを考慮する必要がある。
監視サービスのネットワーク構成例
○被監視装置からのアラーム通知(A)
端末機より直接通知またはe-mail使用

○被監視装置のログ取得(B)
端末機利用
※ネットワーク側からの発信不可のため通常回線を使用してコールバック等の仕組が必要

○監視センター側からの披監視装置のモニタリング(C)
端末機利用
※ネットワーク側からの発信不可のため通常回線を使用してコールバック等の仕組が必要

○オンラインによる披監視装置のメンテナンス作業(D)
端末機利用、センターよりコンテンツ供給、プログラムダウンロード
※ネットワーク側からの発信不可のため通常回線を使用してコールバック等の仕組が必要

○監視センターと営業拠点での披監視装置の情報共有(E)
社内のネットワークを利用し共有または同期を行ない情報の共有を図る

●監視センターへ入ったアラームをメンテナンス担当者が検索(F)
●監視センターへ入ったアラームをメンテナンス担当者へ通知(G)
●メンテナンス担当者が出先より披監視装置をモニタリング(H)
●出先のメンテナンス担当者によるオンラインメンテナンス(I)
PCまたはPDA+端末機使用を想定、回線交換またはパケット、PDAによりPush利用も可能

※一般的にネットワークを利用する場合、通信プロトコルはIPのみ対応となる。

2015年から見た2003年の監視サービスの感想

監視や制御においてはやはり基本的な考え方は現代でも変わっていない。
コントロールする機械がスマートフォンになったり、回線がパケットになったりはしたが基本は同じだ。

さらに双方向性を持たせるのであれば現在ではそうした仕組みがキャリア側から提供されているので構築しやすくなった。

世間では良く言われているがIoTの課題はセキュリティーという事になっている。
2003年の状況を思い出してみるとインターネットでこうした計測監視系を接続するなんて危険は冒せなかったのだ。
外部より侵入されてシステムが乗っとられるとエラい事になるからだ。
閉じたシステムではこれで良かったのだ。

だが現代では収集したデータの利用や利用者の事を考えるとインターネットで接続しなければならない。
この業界まだインターネットに慣れていないのでココが一番のポイントとなるだろう。

最後に2003年の時点で2012年のPHSの周波数移行問題を取り上げている。
これはいかにこうした監視サービス系の設備寿命が長いかを物語っている。

今回はこのへんで
では

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